遠出してもいい、休みをやるから帰れ、と半ば強引に病棟から追い出されたものの、眠る以外のことが思いつかなくてとりあえず10時間ほど爆睡しました。


起きて台所の片付けをしていたら突然涙が出てきました。あーそうか、そいやゆっくり泣く暇もなかったな、と気付きました。



人が死ぬ時ってこんなにもあっけないものなのか、と思いました。悲しいとかよりも驚きの方が強くて、ただただ茫然としていた気がします。死亡診断書、病理解剖の書類、カルテ、サマリーなどをオーベンと手分けして書き、ほとんど眠れないまま通常業務が始まり、慌ただしい中時間だけが過ぎていきました。この間涙は一滴も出なくて、あー私も随分冷たい人間だったんだな、とか思ったりしました。



振り返ると最期の時に私がやったことなんて些細なことでした。痛み止めを追加したとか、冷たいタオルで顔を拭いたとか。患者さんは痛みがとれて楽になった、冷たいタオルが気持ちいい、と言ってくれて、確かにそれはそうだったんだろうけど、死んでしまった今それらは意味があったんだろうか、とか…いや、意味はなくはなかっただろうけど、最終的には助けられなかったわけだし、ただ私が自己満足のために意味はあったと思いたいだけなんじゃなかろうか、とか…って言いながらも満足なんて到底できなくて、残るは後悔ばかりなんですが。


次に活かすとか今はどーでもいい、と思いつつこんな思いをできるだけしない&させないためにもっと頑張ろう、と思いました。