懐かしい、懐かしい、過去


用事があって行った内科病棟で、久しぶりに1年目のときにオーベンだったF先生に会いました。


F先生「おおっ久しぶりだねぇ」
私「ほんとお久しぶりです!先生、私のこと覚えてますか?」
F先生「もちろん覚えてるよ〜僕の最初のネーベンだもん」


そう、私はF先生にとって記念すべき初オーベンの時のネーベンだったのです。


http://d.hatena.ne.jp/nami_ikeda/20050829#1125317102


この時に私のCVC挿入成功を手放しで喜んでくれた先生です。


当時私は1年目でF先生は5年目でした。
それこそ卵から生まれたばかりのピヨピヨだった私からしたらF先生は何でも知ってて何でもできて、心の底から信頼していて言われることを全て信じ切っていました。


しかし当時一度だけ不思議な出来事がありました。
F先生が夏休みをとる間に私の代理オーベンとなったM先生(F先生よりずっと先輩)にF先生が患者さんたちの申し送りをした時です。


私は二人の横に座って会話を聞いていたのですが、とにかくF先生が色んな事をM先生に突っ込まれていたのです。もう詳細は忘れてしまいましたが「そのデータの解釈は?」「その状態で退院させてもいいの?」「病態が変化している可能性は?」とかそんな感じだったと思います。一部の質問はその意味すら私にはわかりませんでした。そしてそのたびにいつも私の質問にはハキハキと答えてくれていたF先生がしどろもどろになっていて、しまいには答えに詰まり、捨てられた子犬みたいにすがるように私の方を見てきたのです。


そんな助けを求められてもF先生が分からないことを私が分かるわけないじゃないかー!と思いながらただひたすら見つめ返した記憶があります。最後はM先生は満足げににやっと笑って「ま、夏休み楽しんでおいでよ」とおっしゃっていました。


5年目の今なら、私はあの時のF先生の気持ちが痛いほどよく分かります。
きっとF先生は「何でも知ってて何でもできる」状態からは程遠かったんだ。
なんだかよく分からない内科病棟で不安だった私と同じ…もしくはそれ以上に不安だったに違いない。
患者さんたちへの責任と私への責任で、精神的にも体力的にもすごくきつかったに違いない。
医者1年目だった私は、当時の日記を読み返しても思うけど、とにかくがむしゃらに頑張っていた。青かったけど、そこがよかった気がする。
そしてF先生もオーベン1年目としてがむしゃらに、そしてとても純粋な気持ちで私と向き合って指導していただいたな…とすごく思います。


私もぼちぼちオーベンもどきをやっています。
「池田先生がオーベンでよかった」と思ってもらえるような指導をしていけるよう、気を引き締めていきたいと思います。