マリッジブルーのしくみ(女医ver.) 3日目


次に襲ってきたのが「改姓への抵抗」でした。


それまでずっと名字が変わることに憧れを抱いていて、しかも彼の名字をすごく好きなのに、直前になって急に「なんか…嫌かも」と思いはじめてきたのです。
免許証や銀行やクレジットカードから始まり、職場の名札、各種保険、学会、ファンクラブなど、とにかくありとあらゆるもののの氏名改姓の手続きを進めるうちに、だんだんと自分の元の名前を記したものが少なくなっていき、それと同時に30年間生きてきた自分が消えていってしまうような気がして、だんだん辛く悲しくなってしまったのです。



特に嫌だったのが、医師免許証の氏名変更です。



だって、この免許を頑張って取ったのは旧姓の私であって、新姓の私じゃない。
大変だった医学部入試、辛かった医師国家試験、苦しかった研修医時代も頑張ったのは旧姓の私だ。
しかも影になり日向になり支えてくれた両親と二人三脚だったじゃないか。
国試に合格し、しばらくして表彰状みたいな医師免許証が届いた時、しげしげと眺めながら「いや〜うちの子は本当にすごいねぇ。親を越えちゃったよ〜」とこれ以上ないくらい嬉しそうに言ってくれたのに、その親の名字とは違う名字を今後医師として名乗るなんて…
親を裏切ってしまうような、申し訳ないような、なんとも言えない気持ちになりました。
同時に、そんな気持ちになることがない彼にちょっとむかついて、チクチクと文句を言ってみたりもしました。


まぁこれは手続きの量が半端なさ過ぎて八つ当たりしただけとも言えますが。