開心術の麻酔も4例目です。まだ4例目、けど、もう4例目・・・早いなぁ。
まだまだなのはもちろんですが、一応進歩らしきものも認められます。


【1例目:弁置換術】
準備に時間がかかるため、6時過ぎからオペ室で麻酔器や薬の準備を始める。緊張のあまり前夜は眠れず朝から吐き気を催し、「なになに?つわり??」と色んな先生に突っ込まれるもいつものように気の利いた返答はできず、基本全て無視。あまりに心配した同期がつきっきりで色々教えてくれる。全く問題なく終わったものの、あまり自分で麻酔をかけたという印象がなく、ちょっぴり落ち込む。え?経食道心エコー?そういやそんなのも入れたねぇ・・・ほとんど触ってすらいないけどorz


【2例目:上行弓部置換術】
上行「弓部」?!つーことは循環停止?!とびびり、割り振り担当の先生に弱音を吐いたら「定時で上行弓部ができるなんていいじゃん。しかもポンプ乗ってる時間長くて暇だから*1その間に麻酔記録まとめたり本読んだりできるし。何か問題でも?」とのお言葉をいただく。すいません、全く問題ないです。ありがとうございます。とか心にもないことを言ってみたりする。しかし幸運なことに手術自体は近年稀に見るくらい極めて順調に終わり、ポンプ離脱時もほとんどすることがなくて、オーベンの先生が入れ替わり立ち代わり来ては「大血管でこんなに順調に終わることなんてまずないんだからな!」と言って帰っていく始末。う〜むなんてラッキーな・・・。ちなみに術後も驚くくらい順調でした。あ、経食エコーは触ろうとして手袋をはめるところまではたどり着きました。・・・まぁ要するに引き続き触ってはないわけですが。


【3例目:弁置換術】
多少慣れてきて準備もちょっと早くなって、6時半開始で手術前に20分くらい時間ができて、朝ごはんを食べられました。そしてなんと!ようやく経食エコーを触るまでに至るのです!!


術者「池田先生、どう?リークは大丈夫?」
私「ええとですねぇ〜ええとですねぇ〜ちょっと待ってくださいねぇ〜(と、目的となる画面を出すまでにしばし時間を要してから、)おそらく、問題となるような大きなリークは明らかにはないと思います、たぶん。」


曖昧万歳。


【4例目:弁置換】
まだまだ緊張のあまり前夜に眠れないのは変わらないけど、多少余裕が出てきました。私のそんな雰囲気を察してか、導入時のギャラリー*2も極端に減りました。途中ふらりとやってきた他の手術のオーベンの先生が術野と麻酔記録をちらりと見て「ふーん・・・ヘルツも板についてきたじゃん」と一言言って去っていきました。ぐふ。
「そろそろ血管拡張薬を・・・あ、はじめてるか」「一応この薬も吸っといて・・・ってもう作ってあるか」というようなオーベンの言葉を聞くとちょっと嬉しくなります。単純なもんで。


しかしこう言っちゃなんですが、外科にいた頃よりずっと術野をよく見てるし手術のことも理解しているような・・・。やっぱりオーベンがバックにいるとは言ってもその場にいる麻酔科医は自分独りなのでかなり集中してるらしく、心外の手術が終わると極度の緊張から解かれて放心状態になってしまいます。午後3時くらいに片付けまで終わってお昼ごはん食べてほっとして、4時くらいにちょっとひとやすみ・・・と医局のソファーに横になったら、寝てしまったらしく、気づいたら5時でした。かなりびっくりしたけど、ここ1週間くらいで一番熟睡できた1時間でした。


明日(もう今日だけど)はまた日当直。夏休み体制+レジデントが少ないため、まだまだ忙しい日々は続きます。けどやっぱり基本にあるのは「楽しい」という気持ちです。時々くじけそうになるけど、人生のかなりの時間を費やす仕事が楽しいだなんてありがたいことです、ほんとに。

*1:人工心肺作動中は薬や輸液は基本的には人工心肺側から投与する。だからその間は麻酔科医は結構暇なのです。

*2:麻酔導入する時が一番やることがあって忙しいので、手が空いてる麻酔科医が色々手伝いに来てくれるのです。まぁ主麻酔科医がテンパってる姿を見て茶々を入れて遊んで帰るだけの人もおりますが。(←私もよくやる)