2004年5月24日(月) 究極の選択

「妊娠の継続は断念していただかねばなりません。

帝王切開だと赤ちゃんの予後はほんの少しだけよくなります。
けれども、お母さんにとっては侵襲を加えるだけとなってしまいます。

経膣分娩ならお母さんにとっては自然に近いお産となります。
けれども、赤ちゃんが元気に生まれる保障はできません。

どちらを選ぶか、ご主人と二人でよく話し合ってください。
15分後にまた参ります。」





こんな大事なムンテラ(説明)の場に、学生としては私一人だけ入れてもらった。
終始無言で、病室を出てからも無言の私に、先生は言った。








「これも、産科。」














何も言えなかった。